日本財団 図書館


 

た対応となることがある。船員はO般にこのような対応に慣れてはいるが、災害の可能性を高めることには違いない。
このようなことをなくすには、よく情報を入手して、前広に計画を立てると同時に、その乗組員全体によく周知させることであろう。また、よくある変更にも対処できるように、起こりうるその可能性も明らかにしておくことが必要であろう。

 

b.準備・片づけ(準備時間にゆとりを持たせ安全点検をしやすくする)
漁具、係船索、滑車やシャックルの破損による事故、甲板上や機関室等の床の乱雑さによる事故が多い。点検や整頓が必要なことは自明であるが、それが実行されない原因に問題がある。一つはその余裕がないことである。
作業中は多くのことを一度にしなければならないことが多いために到底不可能である。したがって、作業に取りかかる前の準備、又は終わって片ずけるときには十分に時間をとることが必要となろう。そして、弱点となる消耗しやすい物を中心にチェック箇所を周知させ、実行することである。特に経験が深い高齢者は、弱点をよく知っている反面、実際にははっきり確認することなく判断しがちなので、マニュアルにしたがって行うよう習慣付けるとよい。

 

c.並行作業(できるだけ避け、必要なら作業の開始と終了、分担を明確にする)
船内作業は種類が多く時間が制約されているために、多種の作業を同時に並行することが多い。そのときに、場所の移動、作業者の編成の変化が著しい。
そして、他の同時に行っている作業に対して注意が働かなくなる。これらのことが災害を発生させやすくしている。これを防ぐには、同時並行する作業を少なくすることであろう。しかし必ずしもそれが可能ではない。そのときには、並行する作業の開始、終了を周囲の作業者に周知させる合図をすることである。そして、作業を開始する場合には、その担当の自覚を明確にして、注意の集中を促すと同時に他の作業者に対しても、協同できる人の範囲を明確にすることである。
特に高齢者は担える作業範囲がせばまり、移動も遅くなるので、周囲の過度の期待が起こらないようにしておくことが必要であろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION